2017年 独立100周年 フィンランド 教育機関視察の旅

フィンランド共和国は2017年に独立100周年を迎えました。
1917年12月6日、フィンランドの議会は独立を宣言しました。この記念すべき年に、フィンランド国内をはじめ世界中でたくさんの行事やイベントが開催されます。フィンランド独立100周年の合言葉は「一緒に/ Together」です。フィンランドは、地球の北に隠された宝石のような場所です。
小さな国だと思われるかもしれませんが、たくさんの魅力があります。
フィンランドの空気は、世界で一番きれいで、景色は最高です。何千もの湖と森がり、それらは決して遠くにあるものではありません。サンタクロースに会いに行ったりオーロラを見たり、あるいは田舎のやすらぎやコテージライフを体験してみませんか?
フィンランドはLonely Planet(ロンリープラネット)の2017年、旅の目的地トップ3に選ばれました!

【出典先】
*フィンランド大使館、東京 http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?nodeid=50019&contentlan=23&culture=ja-JP
*フィンランド政府観光局公式ホームページ「2017年フィンランドへ旅する17の理由」
http://www.visitfinland.com/ja/kiji/why-come-to-finland-in-2017/

独立するまではロシア帝国の支配下にありました。ロシア帝国がロシア革命で滅亡。その後、1917年12月6日にフィンランドは念願の独立を果たしたのです。
ロシア帝国の前はスウェーデンの支配を受けており、フィンランドにとってこの独立は長い間、待ち望んだ瞬間でした。だからこそこ100周年への思いも強いのです!
フィンランド政府観光局公式ホームページの記事「2017年フィンランドへ旅する17の理由」でも100周年が第1の理由にあげられています。
国をあげてアピールしているのが分かります!

弊会代表が2017年4月25日~5月1日までの1週間、ヘルシンキを訪れ、高等学校で授業の視察と学生とワークショップと国立公園で「自然体験学修」でアクティブ・ラーニングを体験して来ました。
独立100周年の2017年のヘルシンキの春をご紹介いたします。
Finland human resource development method Active Learning Tour of Educational visits 2017

フィンランド共和国のカウニアネン町は首都ヘルシンキから西北西約13kmほど離れた町にカウニアイネン高等学校(Kauniaisten lukio)があります。
ヘルシンキから車での通勤が近いことからサラリーマンのベッドタウンとなっており、結構、取得の高い住民層が暮らしています。
そんなことから中学校から高校までの一貫教育を実践しているエリート学校として有名です。中でも理数系コースに人気で高校を卒業すると約半分がヘルシンキ大学等、各大学へ進学をしています。
フィンランドの高校では卒業試験で合格することが結構難関で、さらにその上の大学へ進学することがかなりのハードルなのです。(ちなみに高校卒業は19歳で日本より1年長いです)


高校の授業科目はほとんどが選択科目で自由性があります。したがって入学当初より生徒の「主体性」を重視しています。また、授業内容はそれぞれ担当する教師の裁量で自由にプログラム構成が可能です。したがって職員室(フィンランドの学費はすべて無料で教師も全員公務員)もとても開放的で先生同士がお互いにリスペクトしあっている風土がありました。

高校3年生の理系コースの授業に入って生徒と先生のワーク・ショップを行いました。

「将来、日本で仕事をしてみたい人はいますか?」という質問に、12名の授業を受けていた生徒さんで手が挙がったのは3人だけでした。
「どんな仕事をしてみたいですか?」という質問に、建築設計士やゲームソフトの技術開発者、マスメディア企業という答えが返ってきました。
また、「将来は起業家として会社を作りたい人はいますか?」という質問に唯一1名の女性だけが手が挙がり、どんな会社を作ってみたいのかを聞いてみるとWebマーケティングの会社を作りたいという具体的な「キャリア・ビジョン」をもっていました!

ここは職員室です。
日本の雰囲気とは全くと違いますね!
生徒も先生もゆっくりとくつろげます。

この学校で力をいれている中学生の授業は
「ハンドメイド」の科目で生徒は必須です。
木工、金属加工、電子部品等の技術科目や裁縫等の家庭科目で内容もレベルがとても高いです。

フィンランドのThe Dream Platform カウニアイネン町は、めざす学校(Dream School)の理念とその実現に向けたプログラムを示す計画を策定し、学校改革をめざしています。計画では、学校と地域が共有する価値(Jointly agreed values)が示されています。学校はこれらの価値を重視しながら、開かれた安全な環境で学習者中心の学びと、学ぶ喜びを提供するとしています。Dream Schoolプロジェクトは、Dream Schoolの理念に基づき、学ぶ喜びを提供する学習者中心の教育環境を実現する取り組みです。教員が生徒へ一方向に「教える」教育から学習者を中心として、共に「学ぶ」教育への転換のため、双方向型の学習を実現する教室の空間づくりや、生徒が自主性を発揮して一人ひとりに合った学びを実践するための環境整備・学校運営改革が行われてきました。カウニアイネン町カサヴオリ中学校は、オープン・ソース型クラウドプラットフォームを構築し、全国に展開するDream Schoolプロジェクトを推進しています。カサヴオリ中学校の教員と企業が連携し、次のような特徴を持つクラウドプラットフォーム(Dream Platform)が開発されました。


・Webブラウザから利用可能
・デスクトップ画面からシングルサインオンで、さまざまな企業等の提供する教育アプリ・SNS等にアクセスできる。
・Learning Diaryと呼ばれるデジタル・ポートフォリオ(学習記録)機能により、教員は、生徒の学習成果物を管理して、生徒の学習状況を確認したり、成果物に対してコメントをつけたりす
ることができる。


平行して、多様な情報端末配備・BYODの採用、オープンな無線LAN環境の整備も進められてきました。オープン・ソース型のシステムに移行することにより、コスト削減を実現しました。

フィンランド国家教育委員会による支援を受け、Dream SchoolのICTシステムは、2014年時点で国内200校・10万人に提供されています。こうした流れを受けて、フィンランドでは教育文化省が事業者と連携して、2014年からクラウド・プラットフォーム(EduCloud)の構築を進めています。
EduCloudはオープン・ソースで構築され、さまざまなサービスと連携するための機能やデータの標準化を進めている点が特徴です。

 

【出典先】総務省 平成26年度「教育現場におけるクラウド導入促進方策に係る調査研究」事業 教育ICTの新しいスタイル クラウド導入ガイドブック2015より一部抜粋して掲載

フィンランド~カウニアイネン高等学校 の「地理」の授業は凄い!

エドテック(Education×Technology)のGIS教育

フィンランドでは2005年より小中高において新カリキュラムがスタートしました。そのカリキュラムでは、高等学校において大変特徴的な変化が見られます。それは,地理(maantiede)の授業「地域調査(Aluetutkimus)」において教員、生徒ともに地理情報システム(以下GIS)を必ず使わなければならなくなったという点です。
この科目は専門科目(syventävä kurssi)で、選択科目ではあるものの、どの高校においても開設しなくてはいけない科目です。言い換えれば、すべての生徒たちにGISを使って学ぶ機会が与えられているわけです。GISが高等学校でカリキュラムに組み込まれるようになった背景には、教科としての地理の位置づけと小学校低学年から行われている徹底した地図教育にあります。

フィンランドの学校教育において、地理は生物、科学、物理と同じ自然科学の分野に位置づけられています。中でも生物と地理は同じカテゴリとされており教員養成の場でもお互いに主専攻、副専攻としなければならないほど密接な関わりを持っています。地理の位置づけは初等中等教育におけるカリキュラムにも大きく影響しているそうです。

森と湖に囲まれたフィンランドにおいては身近な環境としての自然環境を理解することから科学分野の学習が始まります。小学校1年から4年まで学ぶ「環境・自然科学(ympäristö- ja luonnontieto)」という教科では、身の回りの自然環境を題材に科学的な知識を得ていくとともに地図を読み、使う学習を行っています。小学校1年生から空間認識を養うために街の鳥瞰図に触れ、立体図形の認識が登場します。地図は,小学校2年生で登場して普段使っている部屋の地図化します。そして近隣から地球規模までさまざまな縮尺の地図に触れていきます。3年生では、実際の地形図の読み方やコンパスの使い方を学び、その地図と周辺地域を同一視できるようになります。

このように低学年からあらゆる縮尺の地図とともに学習をしてきた児童たちは、その後、学年があがるに従って地理が地理という独立した教科に派生していき、学習の範囲が自分の住む州、国、北欧、ヨーロッパへと広がり、人口移動や地域的な特徴や差異へと移っていっても、そのなかで自分たちの地域がどこに位置づけられそれがどのように他と関連しているのかを理解していくことになります。これらの一連の地図を読み解く学習、そして、すべての位置には情報があるという「GISの基礎的な考え方」を学んだ上で高等学校でソフトウエアの操作を授業に取り入れていました。

フィンランドの高等学校でGISを導入する理由は、生徒たちの空間的思考を涵養する、コンピュータの技術的知識を身につける、身の回りの問題を題材にした教授法の実施といった世界的な地理教育の発展の傾向もありますが、フィンランドが教科横断的なテーマを多く扱っていることも大きな要因としています。そして、カリキュラム以外の部分でも他のヨーロッパの国とも連携してGIS教育プロジェクトを行っていること、大学、そして現役の教員に対するGIS教育の充実などによりGISを使った授業ができる環境を整えています。

​ヌークシオ国立公園で「自然体験学修」アクテイブ・ラーニング実践

ヘルシンキから簡単にアクセスできる場所で、大自然に囲まれて、湖や緑の森、険しい岩山の美しい風景を満喫しましょう。バックパックを用意して、家族でのピクニックやキャンプに出かけましょう。近接したフィンランドネイチャーセンターHaltia(ハルティア)では、フィンランドの自然の素晴らしさを体験学修できます。フィンランドは、花崗岩などの強固な岩盤を地盤としているので、土壌は決して肥沃とはいえません。また冬の厳しい気候も相まって、日本のスギやヒノキのようにどっしりとした樹齢数百年を超える木々が見られることはまずありません。けれど、岩の狭間にたくましく根をはり真っ直ぐに育つ木、根こそぎ倒れて往生した木など、とても荒々しく印象深い木々を目の当たりにすることでしょう。 ぜひ森の中の新鮮な空気を味わいながら、極北の木々のさまざまな姿を観察してみてください。
『かもめ食堂』(荻上直子監督の映画)でヘルシンキとヌークシオ国立公園で撮影されましたが、この池の場所が主なロケ地だったそうです。
ところで、この橋を渡るときは気を付けてください。 左右によく揺れますから…。

ヘルシンキ郊外にあるヌークシオ国立公園。森と湖の国のイメージそのままの風景が広がる美しい公園ですが、なんと、バーベキューも出来る場所があります。しかも、バーベキューに必要な薪は無料で用意されています。また、斧も置いてあって驚きました。


よーく乾燥した薪を選ばないと火がつかなくって大変なんだよ〜というお友達の経験談を聞きながら、いざ挑戦!なかなか火が落ち着かずハラハラしたものの、何とか成功したところで具を焼き始めます。フィンランドのバーベキューの具といえば、一にも二にもマッカラ(ソーセージ)なんだそうです。

◆森の中で木の高さを測る方法を学ぶ体験!
自然体験の中で知識や技能を身に付ける
「自然体験学修~アクティブ・ラーニング/簡易測定法を学ぶ」

80年も経つと白樺もこんなに大きく育ちます。さて、この木はいったい何メートルあるのでしょう?

まずは1メートルぐらいのまっすぐ伸びた小枝を探します。
次に自分の目の高さのところにその小枝をセットし、木のてっぺんが小枝の先端にくるところでくるっとまっすぐに小枝を立てます。
このとき小枝をもっている腕が測定する木に向かって目の高さに持つことが重要です。

仰角が45 度になるところまで行き、そこから目標物までの水平距離を測ります。高さはその距離と同じになるわけです。

あとは自分の歩幅をだいたい1メートル間隔として測定対象の木の根っこまで何歩あるか実際に歩いてみます。これで測定対象の木がおよそ何メートルかが分かります。ちなみに3人の男性で実際にやってみましたが、だいたい18~20メートルとわかりました。

フィンランド人材育成メソッド「自画像ワークショップ」

自画像インナーブランディングとエンカウンターの効果

生徒が自身の内面を深くみつめ、充実した日々や将来の夢や希望などから自分らしさを考え、自画像に「テーマ」を生み出して作品を完成させていきます。

自分と向き合い、自分の表情や特徴を探すことを目的に、鏡に映った自分の顔をスケッチしていきます。そして、完成後に友達の自画像も鑑賞して工夫したところや拘ったところをお互いに称賛し合います。
また、全員の作品を教室に貼り出すことで、仲間意識(帰属意識)がメンバー全体に生まれ、多様性の受け入れながらお互いに尊重しあう学級になるという効果が期待できます。
社会人教育にも活用できそうですね。

フィンランドのカウニアイネン中学・高等学校では「自画像」を教室に張り出しています。
これは生徒の「自尊感情を高める」という狙いと学級作り(エンカウンター/Encounter)を目的としているそうです。

自分自身を客観的に見つめ、思春期の中学生の自分の成長を確かめたり、良いところを見つけたり、あるいは、友達から良いところを発見してもらったりすることで自尊感情が高まり、有効であると考えられています。
この自画像を描く授業では太いマジックや黒炭を使って鏡に映った自顔を入念にスケッチをし、描かれた自身の姿、顔を友達に見せたりすることを通じて、自己開示することで表現力を高め、お互いの良さを発見させる狙いがあります。

この自画像ワークショップは「インナーブランディング」という教育メソッドで、自己の土壌づくりの一環としてものすごく効果があるなと感じました。
自己との対話で、自己承認の最も本質的な形の一つである「ありのままのあるがままの自分に」と、ひたすら集中して、自画像を描く。鏡に映し出された事実を善い悪いでなく、ただ俯瞰して描いていく。
そして完成後は、学級のメンバー同士でぉ互いに認めていくるいう、これこそが「アクティブ・ラーニング」だと思いました。
 

© 2016 NPO,Finland method Human Resource Development Institute 

  • w-facebook
  • Twitter Clean
  • w-googleplus
  • w-youtube